私は1998年12月7日にCapacitorを公開しました。セグメント式LCDの文字を使った、一種の実験です。名前は、LCDセグメントの容量性の構造に由来します。二枚の透明電極の間に、誘電体として働く薄い液晶の層が挟まれています。私は既存のセグメント配置に従う代わりに、デジタル時計や電卓で見慣れたパターンを避け、まったく架空の仕組みをデザインしました。
Capacitorは、異様に細いストロークを持つ、極端に幅広いセグメント式のデザインになりました。それだけでなく、実際のディスプレイでは意味をなさない形で、角や接合部をつなげることもできました。私がこれを非実用的だと言うのは、そのためです。セグメント式の文字がある程度複雑になったら、ドットマトリクス方式を使ったほうがよいでしょう。グリフを作る際は、まず全セグメントを点灯させたマスターを一つ作り、それを文字セット全体に複製してから、文字ごとに不要な部分を削除しました。
できあがった書体には、SFの背景でちらりと見かけそうな、奇妙で技術的な雰囲気があります。読みやすさよりも空気感を重視したものです。当初は商用利用ができる無料のデスクトップライセンスで公開し、2020年8月にパブリックドメインに移しました。目立った使用例はありませんでしたが、こんな現実離れした構造を使ってみたいと思うほど好奇心のある人のために、今も公開しています。