Fadgodを公開したのは1999年1月7日です。ほぼ三角形だけを使い、幾何学的なアール・デコのデザインを極端なところまで押し進める実験でした。元になる三角形を1つ作り、それをコピーして拡大・縮小することで、アルファベット全体の角度をそろえました。その結果、鋭いラテン様式のセリフを交えた、刺々しく角張った文字の形ができました。三角形を使う手法はDef Leppardのロゴとのつながりを思わせるかもしれませんが、私が目指したのは、もっと様式化したラウンジの雰囲気でした。マティーニグラスの要素も、同じ三角形の考え方から生まれました。計画していたものではなく、そのモチーフを繰り返すうちに自然と現れたのです。
Fadgodの際立った特徴の1つは、スモールキャップでした。通常の小文字のように扱うのではなく、大文字に対して上下方向の中央に置き、組み合わせると重なり合うようなリズムが生まれるようにしました。目的は機能よりも様式にあり、硬直した形に変化を加えるためのものでした。独特な形のため、スペーシングやカーニングは難しく、公開から約10年後にメトリクスを調整し直しました。その改修では、一部のアウトラインも調整し、句読点類や適切なアクセント記号を加えて、フォントをもっと充実させました。
Fadgodという名前は、意図的に曖昧にしました。移り変わる流行を司る神とも、それ自体が一時的な気まぐれとも取れるようにして、解釈は決めませんでした。Fadgodは商用利用も無料のデスクトップライセンスで公開し、2022年11月にパブリックドメインにしました。目立ったプロジェクトに採用されたことはありませんが、私にとっては、1つの幾何学的な発想をどこまで押し進められるかを探る試みでした。